prediction science(予測科学)という分野はまだまだスタートして間もない分野ですが、音楽や動画広告、映画・ドラマの制作にまで今後は影響していきそうです。
ヒット曲になるかどうかがわかるマシン
こちらはベルギーのアントワープ大学の研究者によって開発された「ヒット曲を予測できる」マシン。
これだけ見ると何の事かさっぱり…ですが、曲の長さやテンポ、ダンスフロアでの適正度(海外はクラブ文化が盛んなので)、曲の構造、音色など139もの要素を測り、楽曲がヒットする確率を算出するものです。
これは100%を上限とし、60%以上であればヒットする可能性が高いという結果になります。
この研究者のチームは1985年から2014年までのトップ10チャート3,500曲を計測し、計測値にそれほどバラつきがない結果が出ているそうです。
ビルボード2015のダンスミュージック部門のチャートで計測
以下はこのアルゴリズムで解析されたビルボード2015のダンスミュージックランキング。右がヒット確率です。
1“Lean On” by Major Lazer & DJ Snake Featuring M0 — 82%
2“Where Are U Now” by Skrillex & Diplo With Justin Bieber — 72%
3“Hey Mama” by David Guetta Featuring Nicki Minaj, Bebe Rexha & Afrojack — 72%
4“You Know You Like It” by DJ Snake & AlunaGeorge — 63%
5“Waves” by Mr. Probz — 68%
6“Outside” by Calvin Harris Featuring Ellie Goulding — 82%
7“Prayer In C” by Lillywood & Robin Schulz — 65%
8“Blame” by Calvin Harris Featuring John Newman — 88%
9“How Deep Is Your Love” by Calvin Harris & Disciples — 62%
10“I Want You To Know” by Zedd Featuring Selena Gomez — 89%
「“Lean On” by Major Lazer & DJ Snake Featuring M0」はミュージックビデオの再生回数が約10億回、2015年で最も楽曲検索された音楽となりました。
「“Blame” by Calvin Harris Featuring John Newman — 88%」は確率が高いのに8位ですが、リリースが2014年の夏です。
2015年もランクインされているので、驚異的な数値と言えます。分析の精度もある程度信頼性が出てきますね。
他にも日本で大ヒットした「“Rather Be” by Clean Bandit」、「“Happy” by Pharrell Williams」などは高い数値を出しています。
一方でこのアルゴリズムではマーケティング予算や社会的なムード、アーティストの知名度、ミュージックビデオの完成度などは考慮していないので、完全なものではありません。機械でヒット予測なんてまだまだ難しい事ではあるでしょう。
しかし一方で「この展開はダレる」、「AメロとBメロは変えた方がいい」と言ったようなこれまでアーティストの感性で行っていた部分がテクノロジーで解明されていき、音楽業界にもテクノロジーが浸透してきているのかな…となんとなく感じます。
シェアされる動画を作るアドテクと周期表
アドテク(広告テクノロジー)は進歩しすぎて筆者もよくわからない部分がありますが…。
こちらはイギリスの動画広告会社Unruly(アンルリー)の持つ、「シェアされやすい動画の周期表」です。
最近では記事の他に動画がシェアされる事も多くなりました。
Unruly(アンルリー)はどんな動画がシェアされやすいのか、ヒットするのかを事前に予測して制作に生かすための膨大なユーザーデータを保有し、性別や年代別にその要素を抽出し、このような表にまとめています。
このような周期表を基に、ターゲット層にリーチしやすい動画を最適なメディアで配信する事が出来ます。なんとなくTVで見るCMよりも、より直接的で効率的なプロモーションが可能になります。
この周期表を始め、蓄積されたデータは制作にも生かされます。例えば「再生開始10分後はダレてユーザーが離れやすいからイベントを入れよう」、「このタイミングで広告商品を出そう」、「新たなキャラクターはこのタイミングで登場させよう」といったものです。
2017年には1000億円を超えると見られる国内の動画広告市場は更に発展していくことが予測されるので、今後も制作には様々な意図が入っていくでしょう。
最近日本でもサービスが開始されたNetflix (ネットフリックス)でも、1つの動画を見たユーザーに「これも見てね」とおすすめする作品が秀逸で、ついつい時間を使ってしまうと言われていますが、Netflix (ネットフリックス)がこの「おすすめ機能」に集中的にお金を使い開発を行っていくことも有名ですね。
という事で、様々なシーンで使われるテクノロジーやビッグデータについての身近な事例でした。
出典:MOTHERBOARD