日本酒を楽しむ大人のオトコに
とても奥の深い日本酒の世界。
普段飲み慣れていない方にとっては、なんとなくどれも同じに見えるし、飲んでみても違いがよくわからないなんてことも多いかもしれません。また難解というか、コダワリが非常に強い趣味というイメージの方も多いかも知れません。
ただ、基本的な知識があれば日本酒は誰でも楽しむことができますし、普段の食事がもっと楽しく、味わい深いものになります。
この記事では、日本酒の基本的な知識ももちろんですが、「好きな日本酒を見つける方法」「どう日本酒を選べばいいか」という観点で、皆様のヒントになるように書いていければと思います。
日本酒を楽しめる、カッコいい大人のオトコの第一歩に。
日本酒の基礎知識
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日本酒の定義
下記要件を満たしたもので、アルコール分が22%未満のものをいいます。
- 米、米麹および水を原料として発酵させて、こしたもの
- 米、米麹、水および清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの
- 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの
要は、米と麹で作られている、とだけ覚えておけば良いですね。
日本酒の味を決めるのは?
日本酒の味を決定づける要素としては、大きく分けて以下のとおりです。
- お米
- 水
- 製法
- 精米歩合
- 醸造アルコールの有無
このうち、お米とお水は地域と酒蔵によって差異があり、日本酒の銘柄ごとの特徴になります。
「どんな系統の味が好みか」という日本酒選びの基礎の観点から見れば、「製法」、「精米歩合」、「醸造アルコールの有無」が見るべきポイントになります。
製法は文字通り作り方です。細かいので今回の記事では割愛します。精米歩合というのは、日本酒を造る際に米を削る精米作業というものがあり、その割合となります。
例えば、「精米歩合60%」というのは、「米を40%削っている」という事になります。米を削るほど雑味は少なくなり、味は爽やかになります。
ここまで覚えなくても全然問題ないですけどね。
「醸造アルコールの有無」は、本来日本酒は米と麹だけで作るのが主流でしたが、それだけでは味を均一に保つのが難しく、同じ商品でも味に違いが出るのを防ぐために入れるようになった材料のことです。
単純に純粋な米と麹だけの日本酒って意外に少ない、ということです。
こういった情報はラベルに記載されていますが、いちいち覚える必要はありません。
以下の「特定名称」だけ覚えれば日本酒の味、選び方はだいたいわかるようになります。
日本酒の味の見分け方 <特定名称>
日本酒は前項の「製法」「精米具合」「醸造アルコールの有無」によって、銘柄以外の「特定名称」というものに分類されます。
つまり、この特定名称が何かにより、どんな系統の味か分かるということになります。
耳慣れない言葉ですが、実際にラベルを見て解説しましょう。
これは一般的なお酒のラベルで、この中の各項目はそれぞれ基本的に表示が義務付けられているものです。
「玄宰」というのはこの日本酒の銘柄で、特定名称と言うのは上の「大吟醸」という部分です。
特定名称は大きく分けて3つあります。ほとんどの日本酒の銘柄には以下の特定名称がついているでしょう。
- 【本醸造酒】:精米歩合が70%以下で、醸造アルコールが入っている
- 【純米酒】:醸造アルコールを使わず、米と麹と水だけで作っている
- 【吟醸酒】:精米歩合が60%以下で、醸造アルコールが入っている
肝心な味の特徴は、端的に言うと以下のようになります。
- 【本醸造酒】:キレがあり、辛口、コッテリ
- 【純米酒】:米の味が強い、コクがある、コッテリしている
- 【吟醸酒】:スッキリ、フルーティー、飲み口が軽い
つまり、同じ日本酒でもまったく味は異なり、好みも変わってきます。
日本酒を数種類飲んでも好きになれない人は、銘柄ではなく、特定名称が自分に合っていない場合があります。
そして、飲食店や酒屋でこのようにラベルをみれば、だいたいどんな味かがもう分かりますね。
米を削る割合が少ないほど雑味は多くなり、また醸造アルコールが入ることで、コメ本来の味から離れていきます。
逆にそれらがないとさっぱりとして、米の甘味だけが味に出てきます。そうざっくりと覚えておけば大丈夫だと思います。
どちらが良いというより、雑味が多いことも含めて個人の方の好みになります。醸造アルコールもお酒の味を極力邪魔しないようにブレンドされていることが大半です。
このあたりが日本酒の深みですね。
さらに細かい分け方
◆本醸造酒
- 本醸造酒: 米、米麹、水、醸造アルコール(精米歩合70%以下)
- 特別本醸造酒: 米、米麹、水、醸造アルコール(精米歩合60%以下 or 特別な製法)
◆純米酒
- 純米酒: 米、米麹、水
- 特別純米酒: 米、米麹、水(精米歩合60%以下 or 特別な製法)
◆吟醸酒
- 吟醸酒: 米、米麹、水、醸造アルコール(精米歩合60%以下)
- 純米吟醸酒: 米、米麹、水(精米歩合60%以下)
- 大吟醸酒: 米、米麹、水、醸造アルコール(精米歩合50%以下)
- 純米大吟醸酒: 米、米麹、水(精米歩合50%以下)
上記をしっかりと見るとアレ?という部分もあります。特別本醸造酒と吟醸酒は似ており、特別純米酒と純米吟醸酒は似ているのです。
これはもう混乱するので、そういうものとして覚えておきましょう。
この中で特に「大吟醸」と「純米大吟醸」は日本酒の最高峰と言われ、生産数も少ないです。
大吟醸と純米大吟醸がおすすめ
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よく「フルーティーで美味しい日本酒だ!」なんて言ったりしますが、これは吟醸酒、特に大吟醸を指す場合が多いです。前述した通り、米を削り、良い部分だけを残していることと、特に時間をかけて熟成されているからです。
具体的には「アルコール感がなく、米っぽい癖もない」味といえ、とっつきやすいことからも、ファン層も多く、大吟醸と純米大吟醸は特におさえておきたい銘柄です。
基本的に高価ですが、他の種類と同価格、もしくは安い場合もあるので、見つけたらぜひ飲んでみるのをオススメします。
さらにツウになれる!日本酒の製法・種類
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これまで述べたお酒の種類に加え、以下のお酒の種類をおさえておけば、確実に日本酒ツウとして一歩先へ抜け出すことができます。
・「生酛(きもと)」
通常、日本酒は酵母と乳酸菌を発酵させて作りますが、この乳酸菌を入れずに、自然発生させる製法です。これには完成まで時間が2倍かかります。味は、日本酒版のブルーチーズ。酸味とコクのあるお酒です。
・「山廃(やまはい)」
上の生酛から、原料のお米をすりつぶす山卸という工程を省いたものです。とてもコクが出ます。
・生酒
完成した日本酒に、本来の過熱処理をせず出荷するもの。フレッシュで荒々しい味わい。ワインで言えばボジョレーヌーヴォー。
・原酒
日本酒の仕上げに入れる「割り水」を排除し、アルコール度数が高く荒々しい風味の日本酒です。
これらの名称も、お酒のラベルや、お店のメニューに記載があると思います。見掛けたら試してみましょう。