ついに2015年10月から施行されたマイナンバー制度。
国民一人一人に番号がついて、資産の流れなどがまるわかりになる…くらいまでの認識はあるかも知れませんが、なかなか詳細まで理解をしている人も多くはないかも知れません。
本記事ではマイナンバー制度のメリットやデメリット、制度自体をなるべくわかりやすく、解説していきたいと思います。
マイナンバー制度とは!?
マイナンバー制度とは、住民票を有する国民一人一人に1つの番号を付して、社会保障や税金、災害時に被害者・生存者の確認や管理をしやすくするなど、行政が効率的に社会を運営するために出来た制度です。
基本的に一生に1つだけ、自分だけの番号が振られ、管理者側は1つの番号からその個人のあらゆる情報を知ることが出来るようになります。
アメリカでは社会保障番号(SSN)として40年以上前から導入されていて、日本だけの特異な制度という訳ではありません。
また、2015年10月に施行されたものの、これから段階を踏んで運用が開始されていきます。
それについても、下にまとめてあります。
マイナンバー制度の特徴
マイナンバー制度とよく比較される「住基ネット」は全員が持っている訳ではなく、国民の間でもほとんど浸透していません。
また、「年金番号」も1人1つではありません。
マイナンバー制度のように国民1人に1つ番号が付与され、それが一斉に通知され、管理するというのは、日本の歴史上でも前例のない事です。
▼マイナンバーで謳っていること
また、以下のような事が出来るようになります。
・携帯電話の契約や会員カード作成時の本人確認書類として(2016年1月~)
・自治体手続きや印鑑証明、図書カードなどを1つにまとめる(2017年以降、詳細時期未定)
個人番号カードが発行される
①まず始めに、2015年10月下旬から、「あなたの番号はこれですよ~」という通知カードが自宅に届きます。
②その通知カードにある案内に従い、「個人番号カード」の申請を行います。
③2016年1月以降に、個人番号カードが交付された旨、再び自宅などに通知のハガキが到着します。
④指定された窓口にハガキや通知カード、身分証を持参して、「個人番号カード」を受け取ります。
この個人カードには表面と裏面それぞれに情報が記入されています。
表面は顔写真や住所、誕生日などが記載され、運転免許証と同じく本人確認に使えます。
また、有効期限は申請以降、10回目の誕生日を迎えるまでです。
(未成年者は5年、転居や結婚などで修正が必要)
▼豆知識
通知カード到着後、すぐに個人番号カードに切り替える必要はありません。
2018年(平成30年)中まではどちらも同じく有効で、好きなタイミングで切り替える事ができます。
裏面は取り扱いに注意
個人番号カードの裏面には、マイナンバーやQRコード、ICチップが埋め込まれています。
この裏面は行政機関や税務署など公的機関以外には、基本的に見せないよう取り扱いに注意が必要です。
コピーなども取らせてはいけませんし、要求された場合はしっかりと断らなくてはなりません。
番号が知られたからと言ってすぐに悪用は難しいですが、カードを見せていい相手、渡してもいい相手をしっかりと見極め判断する必要があります。
▼豆知識
・2017年1月には、マイナンバーの情報がいつ使われたか、個人で確認できるポータルサイトが運用開始予定。
・個人番号カードを紛失したら、24時間対応のコールセンターに連絡して利用を停止させなくてはいけません(携帯電話と同じ)
マイナンバーで得する人
これまで行政側は、個人がどれくらいの稼ぎがあって、どれくらい預金があるのか正確に把握出来ていませんでした。
例えば、サラリーマンの副業や、OLさんが夜にキャバクラで働く、といった隠れた収入には税金を徴収出来ていなかったケースが多かったのです。
自営業者も同じです。
ですが、マイナンバー制度では銀行預金まで行政がチェックすることが可能になります(2018年予定)。
こういった意味で、仕事がしやすくなる税務署と、税金が入る国が一番うれしい制度です。
そして、日本郵政もかなりの恩恵を受ける事が出来ます。
国民全員に書簡を送るため、その料金は莫大なものになりますし、関連書類なども含めて一度限りの特需ではありません。
また、制度によって徴収できた税金は低所得者への現金給付や、生活保護への予算にも充てられると言われています。
▼マイナンバーで得する人
税務署
日本郵政
低所得者・生活保護希望者(と言われている)
関連企業も儲かる
マイナンバー制度は一生のうちに1人に1つ番号が付与され、それらの番号は様々な情報と紐づくため、犯罪者や他人に番号が知られないよう、セキュリティが非常に重要になります。
ウイルス対策ソフトなどのIT系セキュリティシステムを開発する会社や、シュレッダー製造企業など、関連企業の業績や株価は上がると言われています。
NTTデータや大塚商会、野村総研などが当てはまりそうですし、まだまだたくさんの企業があります。
銀行預金もチェックできるようになるため、自宅に預金を保管する人も増えると言われていて、金庫を作る会社も儲かりそうです。
マイナンバーで損する人
マイナンバーが導入されると、行政が個人の資産を銀行口座までチェックすることが出来るようになり、脱税を未然に防ぐことが出来ます。
そういった意味で、これまで税金を払っていなかった人は不利になります。
税金から逃れていた自営業者や、サラリーマンの副収入、OLさんのキャバクラや風俗での稼ぎにも課税がなされます。
勤め人は企業に自身と家族のマイナンバーを通知しなければいけませんし、アルバイト先や水商売のお店でも同様です。
副業がバレて懲戒やクビになってしまう事もありえます。
また、水商売の人が減り、キャバクラや風俗店の売り上げも下がるかも知れません。夜の街に活気がなくなる…なんて事にも。。
巡り巡って飲食店やタクシー会社、嗜好品の売り上げが伸び悩む、なんて事もあるかも知れません。
マイナンバーでも副業や兼業がバレないために
水商売やアルバイト、ネット副業など細かな収入はこれまで税金を払わずにスルーされる事が多かったのも事実。
しかし今後はマイナンバーにより正確に行政が情報を管理・収集でき、勤務先への住民税への報告が行きます。
「そのままでは確実に会社にバレる」という認識でいた方がよいでしょう。
ただし、自分で税金をしっかり払えば問題ありません。
どういった収入であれ、「本業以外の収入は自分で税金を納める」ことが必要になります。逆にこれを行えばバレることはありません。
税金の納め方などについて詳しくはこちらのサイトがわかりやすいのでご紹介しておきます↓
会社バレを防ぐ!副業しているサラリーマンが注意したい確定申告の方法
マイナンバーのデメリット
・制度を悪用した犯罪
あなたのマイナンバーを教えないと○○する、もしくはあなたのマイナンバーを知ったから犯罪組織に知られて欲しくなければお金を払え、といったような恐喝などの事件が多発する恐れはあります。
本来不要なはずのマイナンバーを入力させるウェブサイトができ、知らずに入力してしまい情報が漏えいする、というような事件もあるかも知れません。(例えばですがマイナンバー占い、など)
管理団体の職員が私的な利用をしてストーカー事件に繋がる、というような事も考えられますし、タンス預金を狙って強盗事件も増えるかも知れません。
但し、通販やオンラインでの口座開設、クレジットカードの作成など、マイナンバーと名前がわかるだけですぐに犯罪に利用されたり、個人のなりすましに繋がるような事は現段階では困難かと思います(ICカードの認証なども始まるため)
・金融所得への課税懸念
日本では収入に応じて税金額(率)が変わる、累進課税制度という制度をとっています。
例えば300万円の収入なら税率10%、1000万円の収入なら税率は33%です。
対して、FXや株、投資信託など、金融所得には一律約20%が課税されます。
将来的に国民一人一人の財産が正確に把握される事で、収入と金融所得が合算されて税金が徴収されるのでは、という懸念があります。
・扶養手当の返上
サラリーマンの方などは、お子様や奥様を持ち、扶養控除や配偶者控除を受けている方も多いのではないかと思います。
「年間給与所得103万円以下」でない場合、これらの控除が受けられなくなります。
知らず知らずのうちに奥様やお子様がアルバイトなどで結構な収入を受けていた場合、いきなり表面化し、手当の返上や不足分の納税が求められる可能性もあります。
今後のマイナンバースケジュール
・2015年10月~
マイナンバー開始、通知カード配布、勤め先など自身の給与支払元にマイナンバーを提出
新規口座開設や、NISA口座などにマイナンバーの届け出が必要に
・2016年1月~
マイナンバーの運用が開始、個人番号カードの発行開始(身分証として使えるが、取り扱い注意)
・2017年~
確定申告にマイナンバーが必要になる、マイナンバーの使用履歴をチェックできる「マイポータル」運用開始
・2018年~
銀行口座とマイナンバーの紐づけが開始、すべての金融口座とは2021年に紐づけ予定
まとめ
・マイナンバーは国が効率的に税金の徴収や社会運営をするために生まれた
・諸外国ではすでに導入されている国も多い
・副業や兼業を行う個人は打撃を受ける。しっかりと自分で税金を納めよう
・犯罪に巻き込まれないため、きちんとナンバーやカードを管理する必要がある
・相続税や贈与税についても理解しておきましょう↓
ご家族や友人、親族の方など、しっかりと情報共有を行い、制度に関する理解が一人一人に広まるといいですね。
出典: