私たち日本人は普段邦画を見ていると自然に東京を目にしますが、今回は米サイトTaste of Cinemaがピックアップした「東京を舞台にした映画16本」をご紹介していきます。
選者はアイルランドのダブリン出身のニューヨーク在住の男性で、ヨーロッパ映画と日本映画を愛好しているそう。外国の方から見た東京が舞台の映画、興味深いですね。
選者いわく、東京を舞台にした映画の多くは、つねに何かしら破滅的な、今にも決壊しそうな悪夢を思わせるということです。
最近ではピクサーの「ベイマックス」が東京とサンフランシスコを合わせたような街並みでしたね。
1.「東京物語」(1953/小津安二郎)
日本映画を代表する傑作の1本。巨匠・小津安二郎監督が、戦後変わりつつある家族の関係をテーマに人間の生と死までをも見つめた深淵なドラマ。故郷の尾道から20年ぶりに東京へ出てきた老夫婦。成人した子どもたちの家を訪ねるが、みなそれぞれの生活に精一杯だった。唯一、戦死した次男の未亡人だけが皮肉にも優しい心遣いを示すのだった……。
2.「AKIRA」(1988/大友克洋)
1988年、関東地区に新型爆弾が使用され、第3次世界大戦が勃発した――。2019年、ネオ東京。金田をリーダーとするバイクの一団は進入禁止の高速道を疾走していた。
しかし、先頭にいた島鉄雄は突然視界に入った奇妙な小男をよけきれずに転倒、負傷する。
小男と鉄雄は直ちに現れたアーミーのヘリに収容され飛び去ってしまった。翌日、鉄雄を捜す金田は、少女ケイと出会う。彼女は反政府ゲリラの一員で“アキラ”という存在を追っていた。
3.「ロスト・イン・トランスレーション」(2003/ソフィア・コッポラ)
ハリウッドのスター、ボブ・ハリス(ビル・マーレイ)はウイスキーのCM撮影のために来日し、滞在先のホテルへと向かっていた。ホテルで出迎える日本人スタッフに軽く挨拶をし部屋に入るとアメリカの妻からファックスが入る……。
日本人にとって新鮮に映る東京を表現した名作ですね。
4.「ゴジラ(1954)」(本多猪四郎)
1954年の日本。太平洋沖で船舶遭難事故が発生。何度も行われた水爆実験によって太古の生物が目覚めて暴れたことが原因だった。その凶暴な怪獣は、ゴジラと名付けられる。やがてゴジラは東京を襲い始め、人間側が反撃するも成すすべがない。一方、古生物学者の山根(志村喬)の娘・恵美子(河内桃子)とフィアンセのような関係である芹沢博士(平田昭彦)は、ある研究に没頭しており……。
5.「薔薇の葬列」(1969/松本俊夫)
ゲイバーのジュネで働くエディは、オーナーの権田と関係を持った。エディは権田から「ママのレダを辞めさせる」「お前がママだ」とささやかれ、自分の母親を思い出していた。女手一つで自分を育ててくれた母親の情事を見てしまったエディは、発作的に母親を殺してしまったのだった。エディとレダの関係は悪化、レダの顔を傷つけようとして失敗したレダは、権田に捨てられ自殺してしまう。
6.「東京画」(1985/ビム・ベンダース)
小津安二郎に影響を受けたというヴェンダースが、鎌倉にある小津の墓を訪ねる旅に、様々な東京の情景と撮影の厚田雄春や、俳優・笠智衆など小津ゆかりの人々へのインタビュー・シーンをからめて構成された、私的なドキュメンタリー。
7.「野良犬」(1949/黒澤明)
恐ろしく暑い真夏の午後。射撃練習を終えた若い刑事村上はうだるような暑さに辟易しながら満員のバスに乗り込み帰路につく。しかし、村上は車内でコルトを盗まれたことに気づく。慌てて犯人らしき男を追うが結局路地裏で見失ってしまう。コルトの中には実弾が7発残っていた。必死にコルトを探す村上だったが……。
8.「東京流れ者」(1966/鈴木清順)
本堂哲也はヤクザ稼業から足を洗い、恋人の千春と結婚する決心をしていた。哲也は自分が属する倉田組の組長が、金融業の吉井という男からビルを担保に金を借りていることを知る。彼は吉井に会い手形の延期を申し込むが、吉井は倉田組と敵対する大塚組に脅され権利書を奪われたあげく、殺害されてしまった。
9.「東京1958」(1958/勅使河原宏、羽仁進ほか)
勅使河原宏、羽仁進、松山善三、草壁久四郎などのグループ「シネマ57」による集団監督作。当時の東京の文化・人々の生活を客観的視点で描き出す。