これからの季節、幅広い活躍をしてくれるトレンチコート
スーツの上に羽織るだけでなく、ジーンズやスウェットパンツと合わせるなど、オンオフ問わず使えるトレンチコート。
「ハードボイルド」「スタイリッシュ」というイメージが強かったアウターですが、近年ではビッグシルエットでカジュアルに着こなしたり、風になびくような繊細な雰囲気のものや、デザインに変化をつけたものも数多くリリースされています。
本記事では、トレンチコートの定番とも言えるブランドから、商品展開が豊富なドメスティック系までトレンチコートのブランドや歴史、着こなし方などをご紹介します。
トレンチコートのルーツは「タイロッケンコート」
ダブル仕立てのボタン、腰ひも、ボリュームのある襟元など、現在のトレンチコートのルーツは1890年代にイギリスで誕生した「タイロッケンコート」だと言われています。
1856年にイギリスで創業したバーバリーが、70年代に防水性・耐久性を備えた素材「ギャバジン」を発明し、イギリス軍の士官用コートを作ったのが始まりとされています。
風を通さないよう生地が行き交うようにデザインされており、ボタンがなく、襟はジャケットのようなラペル仕様になっています。前を留めるための身幅に配置されたベルトがトレンチコートのデザインに踏襲されています。
トレンチコートは「戦場のために生まれたウェア」
トレンチコートの元祖は、イギリスのバーバリーとアクアスキュータムだと言われています。
第1次世界大戦時にイギリス軍の要請により開発されたもので、厳しい気候の欧州の戦場下において、軍服の上に羽織る防水用の上着が求められていたことからタイロッケンコートを改良する形で開発がスタートしました。
襟もとや手元、ウエスト部分を締める事で温かさを保ち、寒風を防ぐストラップがついており、防水性や耐久性に優れているのが特徴で、兵士が銃撃から身を守る戦場で高い性能を発揮したことから、「トレンチ:塹壕(ざんごう)」という名称がつけられました。
なお、ルーツについては諸説あり、もっと以前からこの型のコートが存在していたという説もあります。
本来は雨の多いイギリスで、わざわざ傘をささない人が雨合羽替わりに使っていたもの。それがファッションとして現在、広く浸透しています。
トレンチコート購入&着こなしのポイント
ファストファッションから高級ブランドまで、見た目にほとんど違いのないものもあるように思えるトレンチコートですが、決め手は「素材」にあります。
高級品は撥水加工が施された高密度な生地を使用し、ロングコートならではの、なびくようなシルエットが美しく出るのが特徴です。また透湿性にも優れ、水蒸気が通り抜けることで快適な着心地が生まれます。
防水ウールを世界で初めて開発したマッキントッシュや、ギャバジンを発明したバーバリー、そのほかにもイタリア製の生地メーカーのものなど、価格が高いものほど快適な着心地かつ、程よい光沢が高級感を与えてくれます。
トレンチコートはショート丈のタイプ、ロング丈のタイプの主に2種類があります。
丈については個人的な好みの部分が大きいでしょう。もちろん生地が多いロング丈タイプのものの方が価格は高くなりますが、「肩幅」と「袖丈」がしっかりと合っていれば着こなしに関しては問題ありません。
また、一般的には薄い生地でできているため、「取り外し可能なライナー(防寒を調節するもの)」が付属する商品や、「インナーダウン」などで調整すると夏以外の3シーズン活用できます。
腰ベルトの処理にルールなし
トレンチコートの特徴の1つでもある、腰部分に付属したベルト。この処理の仕方について、明確なルールはありません。
- そのまま垂らして着る
- ベルトのようにカッチリ締める
- サイドのポケットに入れる
- 前もしくは後ろで結ぶ
- ループから外し、ベルトなしで着用する
どれもルール違反ではないので、お好みに応じてアレンジしてみてください。
まずは歴史ある定番5ブランドから
ここからは、トレンチコートのブランドをピックアップしてご紹介します。歴史と伝統あるトレンチコートが有名な5ブランドをご紹介していきます。
Aquascutum(アクアスキュータム)
1851年にロンドン、リージェント街の高級服仕立屋からスタートし、 ラテン語の“aqua-水”と“scutum-盾”を組み合わせた造語“Aquascutum”を冠した防水コートで世界的な評価を受け、エグゼクティブのためのブランドとして認知された『Aquascutum(アクアスキュータム)』。
世界で初めて防水ウールの開発に成功するなど、素材の開発面でもファッション界に貢献。重厚で質感の高いコートが現在も高い評価を受けています。
なお、一度日本の企業に買収されたのち、2012年に経営破たんしていますが、現在はレナウンの親会社である中国企業の傘下となり、商品展開を続けています。
過去にはストリートブランド、シュプリームとコラボレーションも。
コートは前部分のデザインや着丈の長さなどの違いで、10種類前後の商品展開しています。
出典:Aquascutum
参考価格:220,000円
BURBERRY(バーバリー)
トレンチコートで現在最も有名かつ定番と言えるのが『BURBERRY(バーバリー)』。
1856年にイギリスで当時21歳だったトーマス・バーバリーによって創立され、今日のトレンチコートの多くに使われている素材・ギャバジンを1879年に発明。アクアスキュータムと並び、トレンチコートの元祖といわれています。
手榴弾や剣、水筒などをぶら下げる「D字型のリング」をコートに止め金として取り付け、英国陸海軍に正式採用された歴史があります。
出典:Farfetch
トレンチコートの展開バリエーションも世界一。悪天候に強くカジュアルファッションにも使える「ヘリテージ」シリーズや、ロング丈の「クラシックフィット」を始め、「フォーマル」、「カジュアル」、「ミリタリー」など、様々なシチュエーションに合ったトレンチコートを展開しています。
素材もギャバジンだけでなく、コットン、カシミア、レザーなど様々な商品が揃うので、自分に似合う一着が見つけやすいでしょう。
MACKINTOSH LONDON(マッキントッシュ ロンドン)
1823年にスコットランドでチャールズ・マッキントッシュが設立したファッションブランド『MACKINTOSH LONDON(マッキントッシュ ロンドン)』。
その起源はオリジナル素材「マッキントッシュクロス」の発明に遡ります。当時雨の多いロンドンで生地の間に溶かした天然ゴムを塗り、圧着し熱を加えた防水布を発明し、この素材を使ったコートは「ゴム引きコート」とも言われマッキントッシュのアイコンになっています。
トレンチコートに限らず、ステンカラーコートやチェスターコート、ダウンコートなど、コート類をトータルで展開しています。
出典:Farfetch
HERNO(ヘルノ)
1940年代に創業したイタリアのアパレルブランドです。現在はダウンジャケットが主力アイテム。
元々レインコートのメーカーだったこともあり、「イタリアのバーバリー」などと呼ばれていたことも。現会長がイタリアクラシコ協会の会長を務めており、本国では絶大な知名度があります。
防水性の高い「レインコレクション」を近年スタートさせ、価格面でもバーバリーやアクアスキュータム、マッキントッシュに比べ比較的安いことで人気を博しています。
クラシカルな雰囲気を醸し出す新作モデル。モノグラムを襟とベルトの裏にあしらっており、好評です。
BOGLIOLI(ボリオリ)
1890年にイタリアで創業し、「クラシック&モダン」をコンセプトにベーシックかつ革新的な商品展開を続ける名門アパレルブランドです。
軽やかでスマートな着心地にも優れたウェアに定評があり、ジャケットやコートが定番アイテムです。
セレクトショップ&リーズナブル系
BEAMS、SHIPS、UNITED ARROWSなどの定番セレクトショップのほか、EDIFICEやEDITIONなど綺麗めのファッションアイテムを取り扱うショップならトレンチも豊富です。
UNITED TOKYO(ユナイテッドトーキョー)
国内ブランドを中心に取り扱うセレクトショップ・STUDIOUSと同じ企業が展開する、国内生産をモットーとしたベーシックなファッションブランドです
日本人体系に合ったトレンチコートがリーズナブルに手に入るだけでなく、生地の仕上げ工程に超撥水加工を施したり、快適な着心地もありながら機能性にも優れた商品が多いです。
出典:UNITED TOKYO
ボトムスやジャケット、カーディガンなど、トレンチコートと合わせたいファッションアイテムも比較的リーズナブルな価格で揃うので、トータルでコーディネートするのもオススメです。
UNITED ARROWS(ユナイテッド アローズ)
ユナイテッド アローズのトレンチコートは、今年のトレンドらしく、ややゆったりしたシルエット。
ベーシックなアイテムなので、ビジネスでもカジュアルでも幅広く活躍できるアイテム。薄手に作られているため、着られるシーズンも長そうです。
BEAMS LIGHTS(ビームスライツ)
「旅」をテーマにデイリーで使いやすいアイテムが揃うビームスのオリジナルレーベル、BEAMS LIGHTS(ビームスライツ)。
細すぎないサイズ感で重ね着がしやすく、一般的なトレンチコートより軽めに作られているのも特徴。
ドメブラから高級ブランドまで、トレンチコート徹底チェック
ここからはドメスティックブランドからハイブランドまで、トレンチコートが人気のブランドをピックアップ。
毎年入荷するごとにすぐに売り切れてしまうブランドもあるので、とっておきの一着がほしい方はお早めに。
whowhat(フーワット)
ロング丈でフワッとなびくような空気感がありながら、細見のシルエットが特徴のwhowhat(フーワット)。
1997年にアクセサリーブランドとして立ち上がり、著名アーティストのスタイリング、衣装制作を手掛けてきた中川純子が手掛けるブランドとしてファッション誌の掲載も多数。
縦糸にオレンジ、横糸にブルーグレーの糸を織り、玉虫系のような絶妙な色合いが特徴。ディティールにこだわりを感じるトレンチコート。
81,000 円
AURALEE(オーラリー)
素材作りからデザインと考え、ディティールまでこだわり抜かれたベーシックウェアを展開するドメスティックブランド。
比翼仕立てでほどよくゆとりがあり、リラックスした着こなしを楽しめるコート類が人気アイテム。
極細の糸を複数組み合わせてねじることにより、独特の生地や丸み、ふくらみを持たせつつハリを感じる作り。かっちりしすぎず、シャツのように羽織れるトレンチコートをお探しの方に。
¥89,640
COMOLI(コモリ)
日本の気候に合う、日本人の体形に合った上質でシンプルな日常着を提案するドメスティックブランド。
トレンチコートのルーツであるタイロッケンコートや、前ボタンがトレンチコート風になったマッキノウコートが定番アイテム。
表地は弱撥水した綿ポリエステルの生地を使用し、裏地には保温性の高い、ウールナッピング生地を使用。
男らしく重厚感のあるコートをお探しの方に。
116,640 円
SAGE DE CRET(サージュデクレ)
1つの洋服への並々ならぬこだわりが評価されている、2001年スタートのドメスティックブランド。ワーク、ミリタリー、トラディショナルがベースの服作りを信条としており、武骨で男らしいウェアが特徴的。
こちらはリリースされるたびに瞬く間に売り切れてしまう、リアルラビット・ファーを使用したトレンチコート。新品でありながら着古した質感を出すため、完成してから特殊な酵素と石を使った「バイオストーン加工」を施し、繊維表面をUSED加工。さらに襟やベルトなどのパーツは手作業で削りを入れるなど、こなれた質感が出せるアイテム。ライナーにも毛皮を使用し暖かみがありつつ、取り外し可能なことで長いシーズン愛用できます。
¥194,400
ilk ADAM ET ROPE(イルク・アダム エ ロペ)
フレンチシックでベーシックなアイテムの多いアダム エ ロペのオリジナルライン、ilk ADAM ET ROPE(イルク・アダム エ ロペ)。
時代とともに「男らしさ」、「女らしさ」が薄れてきた現代においてキーワードとなる、ジェンダーレスやLGBTをテーマにユニセックスで商品を展開。
ディティールのデザインに女性らしさがあり、大きめの襟やポケット、ウエストベルトなどがアクセントに。
¥56,160