ビールの誕生と歴史
ビールが誕生したのは、紀元前8000~4000年のメソポタミア文明やエジプト文明だと言われています。
当時の粘土板や壁画にビール作りの様子が描かれています。
ただ、当時はホップがまだ使われていなかったため、今のような苦味のあるビールとは違う味だったと考えられます。
その後、中世ヨーロッパになるとビールは盛んに作られるようになり、一般庶民の間でも愛飲されました。
また産業革命の時代には長期保存が可能となり、下面発酵(ラガー)というビールが世界中に広がりました。
日本へは江戸時代に唯一交流のあったオランダからビールが伝えられました。現在ではアサヒやサントリーなど5大ビールメーカーが醸造を行っていますね。
ラガーとエールの違い
そもそもビールとは、水、麦芽などのデンプン源、ビール酵母、ポップなどから作られる醸造酒のことです。
また酵母の種類によって2つに分かれます。
▼ラガービール:5℃などの低温で発酵させたビールで、発酵の終わりに酵母が沈むので下面発酵ビールとも言われる。冷やして飲むとすっきりした味わいになる。日本のビールはほぼラガービールです。
▼エールビール:20℃などの温度で発酵させて作られ、発酵中に酵母が浮くため上面発酵ビールとも言う。20℃前後でも、冷やしてもフルーティーな味わいがある。ヨーロッパのビールはエールが多い傾向です。
ビールの製造工程
1.製麦
はじめに大麦に水分を含ませ、1週間ほどかけて発芽させます。芽が出ると糖化酵素であるアミラーゼが作られます。その後乾燥させて根を取り除いて麦芽となります。
2.仕込み
麦芽を粉末にし、50℃の温水にもろみやその他の原料を合わせます。この時酵素のアミラーゼはデンプンを糖に変えて甘い麦汁になります。その後ろ過して、ホップで香り付けすると麦汁が出来上がります。
3.発酵・熟成
発酵タンクに移し、酵母を入れて酵母に適した温度で発酵させます。1週間ほどで糖分がアルコールと炭酸ガスに分かれます。その後別タンクで数十日熟成させます。
4.ろ過
発酵が終わると、残った酵母は濁りの原因となるのでろ過されます。この残った酵母は良質な健康成分なので、酵母サプリメントとして活用されています。
5.缶につめて完成
透明になったビールを缶に詰めて完成。
発泡酒とか新ジャンルって!?
日本のビールは原料の違いで種類分けされています。
ビール:麦芽比率が原料の3分の2以上であること。原料は水、麦芽などのデンプン源、ビール酵母、ポップなどであること。アルコール分20%未満。
発泡酒:麦芽比率が原料の3分の2以下であること。原料の一部に麦芽または麦が使われていること。アルコール分20%未満。
新ジャンル(第3のビール):麦芽、麦以外を主原料に使った酒類。
新ジャンル(第4のビール):麦芽が含まれた発泡酒に蒸留酒が入ったもの。
つまり、プレミアムモルツやエビスはビールですが、「金麦」、「のどごし生」は厳密にはビールじゃないという事ですね。
酒税について
現在500mlあたりの酒税は、
ビール:110円
発泡酒(麦芽比率25%未満):67円
新ジャンル(第3、4のビール):40円
となっています。
酒税は国の大事な税収として重要視されています。
しかしメーカーは発泡酒や新ジャンルなどの高い酒税から逃れた安い酒類を販売しています。
第3のビールでは麦芽を使っていないことから風味の点で不満の声が聞こえましたが、現在では麦芽を使った発泡酒にリキュールを加えた第4のビールが発売されています。
酒税が安く麦芽を使った、いいとこ取りのお酒ですね。
発泡酒はなくなる!?
例えばビール350mlの1本あたりの価格は182円
発泡酒は350mlの1本あたりの価格は122円
第3のビールは350mlの1本あたりの価格は103円
これだけ違えば安い商品に人気が集まりますよね。
しかし、現在政府は酒税の見直しを検討しています。
28年度以降、ビール、発泡酒、第3、4のビールの酒税は一律で500ml缶1本あたり約80円になるようです。
つまり、メーカーは原料と味を抑えて作った発泡酒と新ジャンルの戦略変更を迫られています。消費者にとって安い発泡酒や第3、4のビールはなくなる可能性があります。そのかわり、ビールが今より安くなるかも知れません。
世界のビール
イギリス
・ベールエール
淡色でホップの香りと苦味が特徴です。イギリスでは代表的なビールです。
・スコッチエール
スコッチ酵母を使った、フルーティーなビールです。苦味は弱くコクの深い味わいです。
ベルギー
・トラピストビール
トラピスト修道院内で醸造されたビール。7ヶ所でしか醸造されておらず、とても深みのある個性的なビール。
・ホワイトビール
小麦麦芽を大量に使用したビール。泡もちがよくフルーティーな味わいが特徴。
ドイツ
・ケルシュ
下面発酵で色の明るいビール。地元の伝統醸造で作られ、銘柄によりまろやかなタイプやフルーティーなタイプがあります。
・ヴァイツェン(ヴァイスビア)
50%以上が小麦で、白濁した白ビールです。泡立ちがよく、フルーティーな香りと苦味のない爽快な味です。
チェコ
・ピルスナー
世界で醸造されるビールの多くがこのピルスナースタイルであるほどメジャーなスタイル。苦味と切れ味のある味わいが特徴。
アメリカ
・アメリカンエール
アメリカ産ホップを加えて香りと苦味の強さが特徴。愛飲家をうならせるリバティーエールは名品。
・アメリカンラガー
苦味が弱くすっきりと飲みやすい味わい。日本のラガービールはこのタイプになります。
おすすめビール紹介
ヴェデット(ベルギー)
キレ、コクがありながら驚くほどのフルーティーさ、スッキリさも加わっているホワイトビール。
口に入れた瞬間にオレンジピールの爽やかな風味が広がります。日本でも積極展開されているのでコンビニにある場合も。
ブーン・クリーク(ベルギー)
1,2年間自然発酵させたビールに、更にさくらんぼを漬け込み2次発酵させた珍しいビール。
美しいルビー色と芳醇な甘み、発酵でないと出ないであろう深い味わいはワインでもカクテルでも表現できません。
トラクエアハウスエール(イギリス)
深い苦みと味わいがありながら濃厚な甘さも併せ持つ、世界最高峰とも言われるビール。
スコットランドの古城の中で作られているそうです。
T.Y.HARBOR
ビールの醸造所とレストランが一体化したT.Y.HARBORのビールは是非一度飲んでみて下さい。
みなさんのビールライフが更に充実すれば幸いです!