裁判の傍聴に行ってみよう
裁判はすべての人に開かれている
離婚、横領、傷害、殺人、痴漢…連日メディアを賑わす様々な事件の数々。
当事者たちの事件の真相すべてを知ることができるのが裁判傍聴です。既にご存じの方は多いかもしれませんが、裁判は原則として公開されており、誰でも傍聴することができるのです。
事前手続きや予約は一切不要です。ドラマでしか見たことのない裁判官、弁護士、検察官、被告人や証言者のやりとりを、生で体験することができます。
現実に起きている様々な人間ドラマを見る方法や手順、用語などを解説していきます。実際の傍聴の体験談もあります。
どこで裁判傍聴をすることができる?
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全国の地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所で膨張することができます。
なかでも、東京地方裁判所は最も取り扱う事件数が多く、様々な審理が行われています。
裁判所・裁判の種類
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まず裁判所には、以下の5種類があります。
- 最高裁判所
- 高等裁判所
- 地方裁判所
- 家庭裁判所
- 簡易裁判所
上記のうち、家庭裁判所は非公開です。簡易裁判所も一部非公開です。未公開の軽微な事件や調停などが該当します。また、最高裁判所はほとんど書面だけですので、見に行ってもあまりよく分からないと思います。
そこから考えると、新しい裁判、審理、判決、裁判員裁判などが毎日行われている地方裁判所へ向かうのが良いのではないでしょうか。
通常、一般公開の裁判は地方裁判所で行われ、判決が不服の場合、検察(事件を追及する側)や被告側が、控訴(裁判のやり直し申請)することで高等裁判所、最高裁判所での裁判となります。
なお、最高裁判所での判決は覆えらず、どんな国でも最高裁判所は1つしかありません。
開廷時間や休日、手続などは?
ほとんどの裁判所の開門は8時~9時の間です。
実際に裁判が始まるのは東京地裁で10時~、午後5時くらいまで絶え間なく裁判が行われています。
土曜祝日、休日や年末年始は休みです。
また、1月上旬、4月初旬、夏休み期間の7月下旬から8月いっぱいは開廷が少なくなります。
世間一般と同じと覚えておけば問題ありません。
服装・持ち物やマナーについて
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服装
服装は自由です。スーツの方が若干多いですが、寝間着のような格好の方もいますし、特段規定はありません。
普段着で問題はないですが、裁判と関連性のありそうなメッセージ性のあるものや、あまりよろしくないプリントや文字の入った服装の場合、退廷を命じられることもあるようです。また、法廷内では帽子やニット帽を被っていると注意されることもあるようです。
持ち物
メモ帳や筆記用具、ノートPCなどもOKです。携帯電話もマナーモードであればOKです。飲食物はもちろんですがダメです。また、法廷内に限らず、裁判所内は原則撮影禁止です。
マナー
裁判の傍聴や途中退室は、原則的に自由です。静かに立ち去ったり、入室したりすれば全く問題ありません。
開廷時、裁判の終了時は、起立が求められます。
傍聴の手順
事前予習
事前に法廷内の位置関係を予習しておくと良いでしょう。
弁護人の前に被告人が座ります。検察官・弁護人の後ろにも人が数名いる場合がありますが、司法修習生などの見習いの方です。
また、裁判所内は数多くの部屋があり、各室内で様々な審理が行われています。部屋の大きさも様々で、影響度の大きい事件は、大きな室内で裁判が行われます(関係者が多く集まるなどの配慮でしょうか)。
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地方裁判所へ出向く
最寄りの地方裁判所へ出向いてみましょう。東京地裁では無料の駐車場が併設されています。
一般的な閉廷時間の17時前であれば、どのタイミングで行っても見ることができます。
事前にどんな事件の裁判があるか、知ることはできません。
社会的にかなり影響度の高い事件であれば、事前告知や傍聴券の配布・抽選などがあります。一般的な裁判では傍聴券もいりません。
入口から入門、手荷物検査
裁判所は重厚感のある建物ですが、臆することはありません。普通に入ってしまいましょう。
まず空港のような手荷物検査と金属探知機を通過します。ベルトや時計を外す必要もなし。問題なければ10秒で終わります。
今日の審理を確認する
金属探知機通過後は自由です。東京地裁では売店や食堂、喫煙所もあります。
入ったらすぐに当日分の裁判のリストがありますので、チェックしてみましょう(小さな裁判所ではリストがない場合もあります)。
気になる裁判をチェックしてみて、時間や事件内容、法廷の部屋番号などをメモします(係員の方などへの断りもいりません)。
東京地裁の場合、リストは民事裁判と刑事裁判に分かれています。
- 民事…「離婚やリストラ、過払い金請求など当事者間同士だけの裁判」
- 刑事…「強盗や傷害、横領など警察・検察が介入している裁判」
一般的には刑事裁判の方が話題性もあり、傍聴者も多く、緊張感があります。リストには裁判の内容・被告人や当事者の氏名・開廷時間などが記載されています。
また、裁判員裁判の場合は記載があります。
見たい裁判が決まったら、部屋番号を確認して向かいます。
裁判中の法廷は自由に開放されているので、開廷時間を過ぎていても構いません(満席の場合もあります)。
裁判のステータスを確認
裁判のステータスには以下の3種類あります。当日の裁判リストに記載があるので確認してみましょう。
- 【新件】その日から新しく始まる裁判です。事件の概要、被告人の氏名や職業の確認、検察や裁判官の質問、弁護士の弁論などがあります。事件のことをスムーズに理解することができます。
- 【審理】新件を受けて、新しい証拠の提出や更なる弁論、更なる事件の詳細の確認などをするステータスです。審理から傍聴すると、事件の流れを追うのが難しい場合もあります。
- 【判決】その名の通り、これまでの審理に従い、判決が言い渡されます。審理の法廷で判決に移る場合もあります。判決を言い渡す際の緊張感は、鳥肌が立ちます。
法廷に入ったら
傍聴者が多い裁判は席が埋まってしまうかもしれないので、部屋の前で待機しておくなどしましょう。開廷時間になると、被告人が別室より現れ、裁判官、裁判長らが登場し、傍聴者も含めて全員起立して一礼後、裁判が開廷します。
上でも記載しましたが、途中退席は可能です。
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